リスボンのパン屋さん

ポルトガルへ行くと、どこでもパン屋さんを見かけます。
そして、どれも安くて美味しいです。

レストランに入ると、お通しとして卓上にパンが置いてあります。
(詳しくはポルトガルのレストランでの注文手順をご覧ください。)

今回の記事で、是非、好きなパンを見つけてください!

世界のパンの歴史

今から8000年〜6000年前、古代メソポタミアでは、小麦粉を水でこね、焼いた薄いせんべい状の平焼きパンを食べていました。これがパンの原形とされています。
古代エジプトから古代ギリシャへ、パン作りが伝えられると、製パン技術を身につけた専門のパン職人が登場して、ブドウ液から作られたパン種も使われるようになり、いよいよパンは量産されるようになったのです。パンはヨーロッパからアジア、アフリカへも伝えられ、世界各地で主食として取り入れられるようになりました。パン食普及協議会HPより抜粋)

「パン」はポルトガル語

日本語では、外来語でパンと言いますね。
英語のブレッド(bread)を採用しないで、ポルトガル語のパン( Pão )を採用しています。
これは、パンが日本に初めて来た歴史に関係します。

1543年、鉄砲とキリスト教が日本にやってきたときに、パンも一緒にやってきました。当時、日本人には普及しなかったようですが、新しもの好きの織田信長は食していたそうです。

その後、キリスト教弾圧が始まったため、長崎などの一部のみパンを作っていたそうです。
日本人に普及するようになったのは、明治時代。この時は、イギリスやアメリカなど、ポルトガル以外のパン文化が入ってきました。
なので、今日、日本にあるパンの多くが食パン(イギリス)やロールパン(アメリカ)となってます。
でも、言葉だけはポルトガル語の パン( Pão ) が残りました。

ポルトガルパンの種類

ポルトガルで買ったパンの本
ポルトガルで買ったパンの本

日本では、お米の食べ方が地方によっていろいろあるように、ポルトガルでは、パンの種類や食べ方がいろいろあります。
もちろんパンの本も売ってます。
その中でも、代表的なものをいくつか紹介します。

Mafra(マフラ)

マフラ

当店がオープン当初から通常メニューのパンとしてで作っているのはこれです。
材料は至ってシンプルで、小麦粉、塩、水、酵母です。
オリーブオイルと、バターと、スープと、アサリのワイン蒸しと・・・何にでも合うパンです。

Pão Alentejano(アレンテージョのパン)

アレンテージョのパン

富士山みたいに山の形になっているパン。
ポルトガル南部アレンテージョ地方のパンです。
アレンテージョは、ワインの産地でもとても有名なので、ワインとポルトガルチーズとアレンテージョのパンの組み合わせで幸せな時間を過ごせます。
リスボン市内でもパン屋さんで買うことができます。マフラよりしっかりしていて、マフラより酸味があります。

Broa(ブロア)

ブロア

トウモロコシ粉で作るパンです。小麦粉で作るパンより重みがあり身がしまっていて、もっとコクがあります。パテを塗ったり、スープをつけて食べたりすると、さらに美味しいです。
当店でも、時々作ります。(写真は当店のブロア)

Vianinhas(ヴィアニーニャス)

ヴィアニーニャス

模様が特徴的なパンです。牛乳を使っているのでとてもやわらかく、そのまま食べても、ハムやチーズを挟んで食べても美味しいです。
この模様を付ける調理器具がリスボンで探しても売ってなく、お店でヴィアニーニャスを作ったときはスパークリングワインの栓(コルクに巻いてある金属製のもの)で代用しました。

*おまけ*Pão de queijo (パン・デ・ケージョ)

パン・デ・ケージョ

ブラジルから日本に入ってきたチーズのパンです。
なぜか、ポン・デ・ケージョという名前で入ってきましたが、ポルトガル語で正しくはパン・デ・ケージョです。
小麦粉は使わずに、チーズとタピオカ粉で作るので、もちもちした触感で人気のパンです。
実はこれはブラジル発祥のパンなので、ポルトガルパンではありません。

パンを使った料理

チョリソーのパン

チョリソーのパン

ポルトガル語でpão com chouriço(パン・コン・チョリソ)と言います。
専門店があったり、ファーストフード店(ハンバーガーショップのような感じ)があったりするくらい、ポルトガルではよく目にするパンです。
焼きたてを、ランチならスープと一緒に、夜ならビールと一緒に是非!
当店でも、周年記念パーティなどで作ったりします。

パンの煮込み

パンの煮込みアソルダ

サイドディッシュとしてよく食べるパンの煮込みです。(写真右上)
ポルトガル語で Açorda(アソルダ)と言います。
ポルトガルでは好きな人が多く、メイン(魚や肉)のサイドディッシュとしてジャガイモやご飯ではなく、この Açorda(アソルダ) を注文する人もいます。
その名の通り、パンをにんにく、パクチー、オリーブオイルなどで煮込みます。
当店でも、魚料理に Açorda(アソルダ) を添えて提供するときがあります。
その時には、魚の出汁を加えて作ってます。目立ちはしない料理ですが、実は隠れた人気料理です。

当店Lisboaのパンのこだわり

1.北海道江別の麦

国産小麦で有名な北海道江別の小麦を仕入れてます。
食材を紹介してくれた前田商店さん、ありがとうございます。

2.店内にある製粉機

製粉機

製粉機はアメリカから購入しました。
北海道江別麦の外皮をつけたまま店内の製粉機で小麦粉にします。
パンの仕込みをする直前に小麦粉にするので、香りが高いままパンになります。外皮をつけたままの全粒粉100%でパンを作ります。
全粒粉100%のパン作りはとても難しいのですが、数年に渡り改良を重ねて、2019年に完成しました。

3.天然酵母作り

店内で挽いた小麦粉から天然酵母も作ります。
スーパーで売っているイースト菌だと数時間もあれば発酵しますが、無理矢理発酵させるのでイースト臭さが残ってしまいます。
天然酵母だとゆっくり発酵させるので発酵臭はありませんが、発酵させるのに当店では24時間かけてます。天候に大変左右するので、毎日、パンとの会話が必要です。

天然酵母で作ったパンは消化しやすいので、体にいいとされてます。
パン作りに欠かせない天然酵母を毎日大切に育ててます。

4.パンの捏ね方

シェフの腕が光ります。
オープン当初から9年、毎日のようにパンを捏ねてきました。

5.開店直前に焼く

開店30分前くらいに焼きあがるように設定して仕込みます。
オーブンから出してすぐに食べると、グルテンの働きでお腹を壊してしまうので、焼きあがってから30分くらいたってから食べる方がいいです。

昔と比べると・・・・

手作りポルトガルパン2010年

2010年開業当初のポルトガルパン(マフラ)
普通の小麦粉とイースト菌を買ってきて、作っていました。
とても美味しかったですが、今とは全く異なります。

手作りポルトガルパン2019

2020年現在のポルトガルパン(マフラ)
全粒粉100%、自家製天然酵母で24時間かけて膨らましています。
香ばしさ、味の深さ、触感、全てにおいて10年間研究した成果が出ています。

「パンだけ売って欲しい!」という声もいただくほど、美味しいパンを毎日焼いてます。ジョゼがもう1人いたら、パン屋さんを開きたいくらいです・・・。

家でも江別の全粒粉でパンを作ってみたいという方は、こちらから購入可能です。